当日は小学校入学前のこどもから60代の方まで幅広く参加していただきました!
普段見かけることはあっても、なかなか野生動物との関わりを持つことはありません。
「獣害」が多大な被害を及ぼしていると聞きますが、被害者でないとなかなか実感が湧きません。
そこで日頃から野生動物、獣と向き合っている猟師さんと猟師目線での山の歩き方を通して、動物たちのことを考える時間をつくりました!
案内をしてくれるのは猟師歴56年の大ベテラン猟師さんです!
山にはどんな動物たちの痕跡があるのでしょうか…?
まず最初に参加者の方々にごく簡単な動物の特徴などをご紹介しました!
普段あまり関わりのないだろう「狩猟」の世界についてもご説明しました。
少しはイメージ湧いてもらえたかなぁ?
いざ冬の山へレッツゴー!
10日前の雪がまだ残る山を登っていきます。
あっ!!足跡がある!
そんな声に参加者のみなさんが集まります。
よく見てみると…
きれいに足跡が残っていました!
「シカがここを歩いたんだね!」と参加者のお子さんがいち早く動物を特定しました!
すごーい!!!
ヒヅメの向きからシカの通った道を追っていきます!
何しに来てたのでしょう?
こんな足跡も発見!
ちょっと形が崩れているけど…キツネかな?
イヌに似た足跡が残っていました。
シカの足跡を追っているとある場所に向かっていました。
猟師さんの指す方向の先には…
ん?何もない…
いえ、実はここにはササがたくさん生えていたのです。
しかし、シカがほとんど食べてしまうために、葉がないササは次第に枯れてしまうのです。
冬でも葉をつけているはずのササが枯れ木に見えました。
生きるのに必死なシカは目の前にある食べ物を食べ尽くしてしまいます。そうすると植物は成長できなくなり、結果としてシカの食糧不足へつながります。
「シカも食べもんがなくならんように加減して食べればいいのに」と猟師さんは笑っていましたが、それができないのが動物なのだそうです。
シカは食糧を求めて、危険を冒してまでも人里にまで下りるようになってきました。
さらに歩くとふとこんな場所にやってきました。
ただの山の斜面…と見えて実はケモノ道(シカの通り道)なのです!
写真の真ん中あたりがすこ〜しくぼんでいるのがお分かりになるでしょうか??
シカになったつもりでケモノ道を歩いてみます!
猟師さんが指す先にある大きなスギの木は「タツマ」と呼ばれる銃猟の際の待ち伏せをする場所です。
なかなか猟の専門用語はなじみがないのでご紹介!
「巻狩り」という一般的な狩猟の方法を簡単なイラストをつくってみました。
猟は「タツマ」(地域によって呼び方は様々)と「勢子」と呼ばれる二手に分かれておこないます。
勢子はタツマがいる方向へ猟犬を使ってをシカを追い立てます。
タツマはシカが現れるのをじっと待って見つからないように狙い撃ちます。
昔から「一犬、二足、三鉄砲」と言われていて、それだけ狩猟においてイヌの役割は大きいことがわかります。
こうした集団の方法で猟はおこなわれています。(ほかにもいろんなやり方はあります)
話が少し脱線しました(^^;
引き続いて野生動物の痕跡を追いました。
ここではイノシシの特徴についてのお話でした。
シカとは食べるものが全然違うイノシシ。
「イノシシはこういうとこでサワガニや昆虫の卵を掘って探して食べてるだよ」
シカとはまた違った観点に参加者の方々も興味を持っていただけたようです!
道志村ではなかなかイノシシには出逢えません…
その分イノシシが獲れたときには猟師さんの喜びは大きいようです!
今度は場所を変えて、人家のすぐ横にある梅の畑に来ました。
こんなところにも動物の気配がありました。
下をよくみてみると…
あちこちにシカのフンがありました!
「このフンはオスのもんだね」と猟師さん。
オスとメスでフンの形が少し違うのだそうです。
短い時間でも参加者の方々も判別できるようになっていました!
またこの梅の畑はシカの交尾の場所だそうです。
ある境目から一方にはフンが落ちておらず、もう一方にはフンがあちこちに見られました。
シカも排泄場所と子孫を残す場所はきちんと分けているそうです。
猟師さんのお話に「へぇ〜」と感心された方も多いようでした!
山歩きを終えてからのお楽しみ!ジビエ料理を食べていただきました!
この日用意したのは「イノシシの猟師風煮込み」と「シカ肉ホットドッグ」、さらに近所の猟師さんからもらった「イノシシのモツ煮込み」です!
どちらのお肉も昨年末から今年にかけて村内で獲れたものです。
イノシシはニンニクと大根、ゴボウとで甘塩っぱく煮ただけなのですが、肉から出た脂や旨味でごちそうのようなおいしさでした!
モツも脂がのったうえに臭みも全くないものでした。
シカ肉は薄めにスライスして前日からおろしショウガとニンニクに浸けただけですが、独特のシカの匂いはなくなっていて、焼肉定食にしたいくらいでした!
イベントの最後に参加者の方々といくつかお話させていただきました。
そのなかでは「シカ肉が好きで専門の肉屋さんから買っている」という方がいらっしゃいました。しかも買うシカ肉は遠くの地域のシカだそうです。
一方道志村ではシカ肉を買うなんてことはなく、「もらうもの」となっています。
都市周辺に住むシカ肉の消費者となる方が、わざわざ遠くからシカ肉を買っている。
野菜では地産地消が一般的になりつつありますが、シカ肉だってそのように近い距離の場所で消費できないのか。
そんな意見を参加者の方からいただきました。
ジビエでお金を生む。
これがうまくできたら猟師さんは喜びますし、猟に入ってくる人も増えるかもしれません。
全国でみれば実績をあげている地域もあります。
道志村のおける猟とそのお肉の活用を考えさせられました。
企画した側ですが、自分もとても勉強になるイベントとなりました!
次回は解体メニューも入れたらおもしろいんじゃないか!と猟師さんと盛り上がっています(^^)
文:なかじま[まだまだ見習い猟師です!早く自分で獲物を仕留めたい!]
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しょうく (水曜日, 28 1月 2015 18:47)
ゆきたかったのですが、残念です。
初めて、イノシシの肉を食べたのが道志でした。
ウサギの気配はなかったですか。
doshi-okoshi (木曜日, 29 1月 2015 08:55)
しょうくさん
そうでしたか!イノシシはもちろん、シカもおいしいのでぜひ召し上がってください。
雪が解けかかっていたためか、ウサギのような小動物の気配は感じられませんでした。